高橋一生『ブラック・ジャック』好評も、石橋静河演じるドクター・キリコに賛否のワケ

高橋一生『ブラック・ジャック』好評も、石橋静河演じるドクター・キリコに賛否のワケ

俳優・高橋一生が主演を務めるスペシャルドラマ『ブラック・ジャック』(テレビ朝日系)が、6月30日に放送された。原作は手塚治虫による名作医療漫画(秋田書店)で、今回は24年ぶりのドラマ化となる。放送前から高い注目を集めてきたが、オンエア後は否定的な感想が多く寄せられる事態となった。『ブラック・ジャック』、高橋一生主演で手塚プロによる綿密な監修今作は、法外な治療費と引き換えに、どんな手術も成功させる無免許の天才外科医“ブラック・ジャック”(高橋)の活躍を描いた物語。「医療漫画の金字塔」として多くの人々に愛され、昨年11月には連載開始から50周年を迎えた。

高橋一生『ブラック・ジャック』好評も、石橋静河演じるドクター・キリコに賛否のワケ

1977年に宍戸錠主演で映画化したのを皮切りにたびたび実写化しており、81年1月期にはテレビ朝日系で加山雄三主演のテレビドラマを放送。また、96年に隆大介版のビデオが発売され、2000年3月、9月と01年9月にはTBS系で本木雅弘主演の単発ドラマ3作がオンエアされている。

今作は連載50周年の節目に当たり、脚本は『JIN-仁-』(TBS系、09~11年放送)、『義母と娘のブルース』(同、18年~24年放送)などの人気作を手掛けた森下佳子氏が担当。ドラマ公式サイトによると、「原作から厳選した有名エピソードを凝縮」(原文ママ、以下同)し、「手塚プロによる綿密な監修のもと、現代設定も取り入れつつ、入念に再編成する物語は見逃せません」と、PRしていた。

「高橋演じるブラック・ジャックの助手であるピノコ役には子役の永尾柚乃が抜てきされ、ひょんなことからブラック・ジャックと出会い、つきまとうようになる研修医・長谷川啓介を井之脇海が演じました。また、“安楽死”を秘密裏に請け負うドクター・キリコ(以下、キリコ)役として、石橋静河が出演。ほかにも早乙女太一、松本まりか、宇野祥平、奥田瑛二、橋爪功といった豪華キャストが登場しました」(芸能ライター)

ドラマ『ブラック・ジャック』、石橋静河演じるキリコに、放送前からファン落胆

なお、キリコのキャスティングや作中でのキャラクター像をめぐっては、ドラマ放送前の段階で原作ファンなどから疑問の声が漏れていた。

「原作のキリコは長髪や隻眼が特徴的な男性医師で、ブラック・ジャックのライバル的存在です。しかし、今作ではキリコが女性となり、石橋が演じると判明。6月20日付の『朝日新聞』に掲載された、テレ朝のプロデューサー・飯田サヤカ氏がキリコについて語っている内容がSNS上で拡散されたことで騒ぎとなりました」(同)

飯田氏は記事内で、「調べてみると、海外で安楽死をサポートする団体には、なぜか女性の姿が多い印象があった。脚本の森下佳子さんと相談しているうち、『優しい女神』のような存在が、苦しむ人のそばにいて死へと導くのかもしれない、と想像するようになった」とコメント。こうした考えの積み重ねから、原作では男性のキリコ役を石橋にお願いしたと明かしていた。

この「優しい女神」の一言を受け、SNSユーザーは「キリコが『優しい女神』とか、解釈違い」「キリコが女性に改変されたから見るのやめようかな」などと、落胆していたのだった。

そしていよいよ迎えた6月30日の放送後は、ネット上の視聴者たちから「高橋一生のブラック・ジャック、ハマり役だった。影がありながらも飄々としたキャラクターの演技が良かった」「『ブラック・ジャック』の実写版で一番良かったのでは? と思うほど面白かった。連続ドラマ化してほしい」と好意的な書き込みも多数上がった一方、キリコについては、当初の性別の変更のほかビジュアルの改変などを含め、手厳しい意見が飛び交うことになった。

石橋静河演じるキリコ、「アリだと思った」「どうしても許せない」と賛否分かれる

キリコのシーンについて特に波紋を呼んでいるのが、「安楽死」に関するキリコのポリシーに手を入れたことだ。

原作のキリコは、病気やケガが原因で、死ぬしかなくなった患者を安楽死させるも、助かる命は助けることを信条としている。手塚治虫の公式ウェブサイトは、キリコについて「安楽死の必要性と正しさを信念とする医師」と紹介。「その信念は、軍医時代『戦場で手足をもがれ胸や腹をつぶされてそれでもまだ死ねないでいる悲惨なけが人をゴマンと見たんだ』と語る凄惨な体験から来ている」との解説文も載っている。

ドラマ版ではキリコが、獅子のような恐ろしい顔面に変わってしまう奇病「獅子面病」に苦しみ安楽死を望む女性・六実えみ子(松本まりか)を、カウンセリングするシーンがあった。

「対して、ドラマ版に登場したえみ子は死を決意するも、まだ迷いがあると感じたキリコが『私が死を請け負うのは、死以外に救われようがない人たちだけです』と説得。えみ子が『じゃあキリコさんはさ、この顔抱えて生きていける?』と質問すると、キリコはえみ子を抱きしめ、『ごめんなさい。つらいことを言わせて』と寄り添い、最終的にえみ子の意思を尊重していました。なお獅子面病についてのエピソードは原作第33話『獅子面病』をもとにしたと思われますが、患者は青年でドクター・キリコは登場していません」(同)

ドラマ版では、キリコが自らの信条に反してえみ子に死をもたらそうとしたと受け取れるため、「キリコが自殺幇助をするのは、原作とかけ離れすぎていてどうしても許せない」といった、拒絶的なコメントが続出することに。

一方で、「獅子面病のえみ子に寄り添える女性は必要だったと思う」「物議を醸していたキリコ、個人的には全然アリだと思った」と評価する声も聞こえる。

「また、『手塚プロが監修していたのに、なぜこの脚本でOKしちゃったの?』という指摘も見受けられました。主役の高橋については好意的な感想が多い印象ですが、医療漫画がもとになっているドラマにしては『手術シーンに緊張感がなくて残念』『肝心の手術シーンがしょぼかった』との声もありました」(同)

こうして、賛否を呼んだ『ブラック・ジャック』の世帯平均視聴率は、10.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)とまずまずの数字マーク。一部の視聴者からは続編を願う声も出ているものの、果たして実現するのだろうか?

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